Diana Rhythmic Gymnastics Club

第71回全日本新体操選手権レポート⑥女子個人種目別後半2種目・団体種目別ボール&ロープ

Dianaの藤野コーチによる、第70回全日本新体操選手権大会のレポートです。

【個人競技】

■クラブ
1位は古井里奈選手(国士舘大学)。
種目別決勝で見事2冠を達成した。巧みな手具操作に定評のある古井選手は、軽快なリズムに乗って手具難度を次々と成功させていく。見事な手具さばきであった。試合後のインタビューでインカレ後に難度を増やしたとコメントしていた。今日の完成度の高さから、相当な練習量をこなしてきたのであろう。演技終末のDERが成功すると大きな歓声が沸いた。
Dスコア9.70 Eスコア8.30 得点18.000

2位は喜田純鈴選手(エンジェルRGカガワ日中 丸亀)
演技冒頭のDERを成功させ演技は波に乗ったかと思ったが、中盤のADで落下ミスが生じた。その後受けのADでも少し乱れが生じたが大きな減点には繋がらない程度であった。多少のミスが生じても大きく崩れなくなった。回転難度の軸もしっかりと定まっており、身体難度は非常に明確に見えた。
Dスコア9.60 Eスコア8.00 得点17.600

3位は河崎羽珠愛選手(イオン/早稲田大学)。
演技序盤のADで落下が生じた。その後ADやDERでもたつく場面もあったがミスに繋がらないように良く踏ん張った。曲調を捉えた演技構成と豊かな表現力で観客を引き付けた。
Dスコア7.90 Eスコア7.30 得点15.300

■リボン
1位は喜田純鈴選手(エンジェルRGカガワ日中 丸亀)
個人総合の演技より、リボンが良く動いていた。演技中盤の難易度の高いブーメランのADを成功させて会場が沸く。ジャンプ難度は非常に伸びやかであった。怪我から復帰し、今大会では3日間で8演技を踊りきった。着実に前進している喜田選手の演技を見て、多くの選手が大きな刺激を受けたであろう。来シーズンは更に成長した喜田選手の演技を期待したい。
Dスコア8.30 Eスコア8.35 得点16.650

2位は古井里奈選手(国士舘大学)。
演技冒頭のADを成功させDER、ADと次々と技が続く。動きの繋ぎがスムース、そして曲調にあった振付、決して羅列には見えない。得点を伸ばしにくいとされているリボンであるがADを多く組み込み、果敢に攻めている演技であった。
Dスコア8.10 Eスコア7.90 得点16.000

3位には山田愛乃選手(イオン)、猪又涼子選手(日本女子体育大学/ポーラ☆スター)の2名の選手が入賞した。
山田選手は、長い手足を生かした伸びやかで美しい演技で観客を魅了した。ダンスステップコンビネーションでは様々な表情で演じ、笑顔がとても印象的であった。先日アルゼンチンで開催されたユースオリンピックでは個人総合で見事8位入賞を果たした。
Dスコア7.10 Eスコア8.35 得点15.450
猪又選手は、スピーディーな動きの中でもリボンの軌跡がしっかりと描かれていた。リボンの操作が巧みで床につく時間が少なく常に動いている。大きなミスなく演技を纏め上げた。
Dスコア7.50 Eスコア7.95 得点15.450

【団体競技】

■ボール3+ロープ2

優勝は、すみれRG/金蘭会高等学校であった。
団体総合でも見事に3位入賞を果たし、今大会大健闘のチームである。独創的な演技構成と、リスキーな交換と連係に果敢に挑戦する演技に定評があるチーム。演技終末の連係も、最後の音と共にキャッチ。会場から大歓声が沸く。何処を取っても普通の投げ受けがなく、全て加点要素が組み込まれている攻めの演技でDスコアは13.90。見事な演技であった。
Dスコア13.90 Eスコア6.350 得点19.550

2位は日本女子体育大学。
団体総合での悔しさを晴らす演技であった。選手1人1人の意気込みを感じる演技は同時性に優れ空間を大きく使った伸びやかな演技であった。手具の使いかたが丁寧で、特にロープの扱いには熟練度を感じた。コラボレーションリスクでヒヤッとする場面はあったが、選手は良く反応して大きなミスには繋がらなかった。
Dスコア11.60 Eスコア7.45 得点19.050

3位は武庫川女子大学。
団体総合の優勝チームである。音楽にマッチしたダンスステップコンビネーションや、独創性の高いコラボレーションリスクで観客を魅了する。DERは1名の選手が回転不足で不成立となってしまったが落下ミスなく演技を終える。団体総合優勝を背負っての種目別決勝の演技。今までに感じた事のない気持ちで演技に臨んだことであろう。
Dスコア11.40 Eスコア7.40 得点18.800

ルール上、Dスコアは上限なく加点されていくために個人も団体も演技の密度が濃くなっている。密度の濃さゆえに1つの小さなミスで演技のリズムが大きく崩れてしまう。身体難度も手具難度も、技術的に熟練されていないと芸術性を求めるのは難しい。そして、本番で力を出し切る難しさを改めて感じる全日本選手権大会であった。

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